釣船茶屋ざうお

香川 妙美

体験なくして成長なし!なぜ美味しいことに楽しさも求めるのか? ざうお・社長×副社長 兄弟対談【後編】

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株式会社ハーバーハウス 代表取締役社長 髙橋和久、同副社長 髙橋拓也(写真左から)幼少時代から2人共仲が良く活発な子供だったとのこと

 

『釣船茶屋 ざうお』が発信する、情報メディア『ざうおブログ』。

スタートにあたり、ざうおを運営する、株式会社ハーバーハウス 代表取締役社長 髙橋和久、同副社長 髙橋拓也の対談インタビューをお届け。今回は、その後編です。

前編は、こちらから。

 

イ: ざうおは、「おいしい」と同じくらい「楽しい」という声が聞こえてきます。その声が生まれる理由は何だと思われますか。

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和久: ざうおは、「誰もやっていないことをしてお客様を喜ばせたい」というのが、原点です。その原点をスタッフ一人ひとりが理解しているだけでなく、心から共感している。共感しているからこそ、行動として出てくるんですよね。魚が釣れれば一緒に喜ぶし、釣れるまでは精いっぱいサポートする。そんな姿や表情が、お客様の「楽しい」を増幅させているのではないでしょうか。これは、ざうおの強みでもあります。

また、お客様のなかには、「会社の忘年会で来て楽しかった。結婚して家族ができたら一緒に来ようと思っていた」と話す方がいらしたり、ざうおにまた来たい一心で、リハビリに励まれる方がいらしたり、皆さんそれぞれにざうおの存在価値を感じてくださっています。スタッフにも、そんな声をもっと知ってもらいたいし、お客様が喜んだり感動したりする姿をやりがいにつなげてほしい。この連鎖がずっと続くと良いと思っています。

 

拓也: もう10年くらい前になりますが、飲食業界にIPO(新規上場)ブームが巻き起こった時代があり、実は僕らにも、それを目指して舵を切ったタイミングがありました。

管理体制を整備したり出店数を増やして売り上げをつくったり、これまでとは違うやりかたで組織づくりを進めはじめると、社員の意識も変わりだす。それが良いほうに向かえばよいのですが、残念ながらそのときはお客様のことよりもお店の売上や利益を重視するスタッフが増えていきました。気付いたときは、会社中が「上場」という目標に向かって突っ走っる状態。「目標」というか、そのときにはもう「目的」になっていましたね。上場をとおして何をやり遂げるのか。そのことよりも、とにかく上場することがゴール。怖かったですよ。いままで積み上げてきたざうおが崩れるんじゃないかって。結局、僕たちは上場することを止めました。いろいろな人に頭を下げたり、お店を閉めたり、そのあとの軌道修正には労を取りました。でも、そのおかげで僕らは利潤だけを追求すると理念が希薄化することもある、ということを体験をとおして知ることができた。そして、こんな大転換期を過ごしながらも「ざうおが好きだから」と引き続き一緒に働いてくれるスタッフにも恵まれました。だからこそ、売上、利益や店舗数を追いかけるのではなく、お客様からの「ここにざうおがあってうれしいよね」という言葉をみんなで一緒に集めて、長く続く店を目指したい。こういった経験を乗り越えたからこそ表現できるざうおのおもてなしを、お客様が「楽しい」と感じてくださっているとしたら、本当にうれしいです。

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イ: 今後の目標をお聞かせください。

 

拓也: 先代である僕らの父親を含め、誰かに驚いてもらいたい、喜んでもらいたいという思いが、ざうおの原点。だからこそ、自分たちで目標を設定するというよりも、お客様一人ひとりの感動を見つけ、それをお店のすみずみにまで反映していきたいですね。ざうおに行けば、感動できる。100年先もそんな期待をお客様が寄せてくれる店であり、企業でありたいと思っています。

 

和久: おいしい食事を出すお店はごまんとありますが、ざうおにいらっしゃるお客様は、そこだけではない、プラスαを期待して足を運んでくださいます。その期待に応え続け、ざうおにしかない体験をお客様に提案し続けたい。ざうおの遊びごころを感動に変える、そのエッセンスを常に忘れずにいたいですね。

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【あとがき】

ほろっとするお客様とのエピソード、「命をいただく」という言葉を裏打ちする体験談。上場を舞台とする大変革時代に起こった話。インタビューは、ときおりそんな心を打つ話にも触れながら進んでいきました。

温和な兄と熱血漢な弟という構図が印象的ながらも、ざうおにかける気持ちの強さに温度の違いはなく、「アウトプットは違うけれど、二人の視線は常に揃っている」ということを何度となく感じるインタビューでした。

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