釣船茶屋ざうお

星野 智哉(HADAKA DENKYU)

ないので作ってみました:心にしみる「魚言葉」

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花にはそれぞれ「花言葉」があります。例えばバラは「愛」を表します。しかし、どうにも花を贈るのは照れくさい。その時、思ったのです。不器用な私でも、魚なら渡せるのではないだろうか。そうだ、魚に「魚言葉」をつけよう!あなたの溢れる気持ちを鮮魚で伝えてみませんか。

 

《ブリ》

魚言葉:永年勤続

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荒波に揉まれ、激流に耐え、来る日も来る日も泳ぎ続けたブリ。「イナダ」に「ワラサ」、時には「ハマチ」、大きさが変わるたびに出世を重ね、ようやく「ブリ」になりました。

その風貌はまさに「海の管理職」。脂の甘さ、弾ける身の弾力はベテラン社員のなせる技です。いつも寡黙なお父さんにブリを贈りましょう。

 

《サンマ》

魚言葉:誰も傷つけない 13

まるでジャックナイフが泳いでいるようなギラリと光るシャープな魚体。しかし本質は、触るものみな傷つけない、集団行動を重んじる魚です。包み込むような優しさで食卓に秋を告げるサンマは、ご飯にもお酒にもピッタリ。焼いてよし、煮てよし、最近では刺身も人気があります。

 

《カレイ》

魚言葉:右向け〜右っ!

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「左ヒラメの右カレイ」という言葉があるように、目の位置で見分けます。どんなに左が気になっても、絶対に向きません。それがルールですから。規則正しく厳格な人はカレイ気質と言えます。世間が抱くヒラメのイメージは鮨ネタとしての高級魚、一方、カレイは煮付けです。しかし、この煮付けのファンが多いこと。熱々のご飯と食べると、そのポテンシャルに驚きます。

 

《マグロ》

魚言葉:止まらない情熱

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寝ても覚めても泳ぎ続ける回遊魚で、止まることは「死」を意味します。前だけを見つめて進み続けるマグロ。情熱のままに、過去にとらわれず、見据える先は未来です。そんな生き様を日本人は愛し続け、日本は現在も世界で一番マグロを食べる国として君臨しています。

 

《ホッケ》

魚言葉:開かれた心

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鮮度を保つことが困難だったため、開いて干すようになったホッケです。塩焼きやフライに加え、北海道では刺身でも食べられていますが、一般的には開きのイメージが強く、泳いでいる姿ではホッケだとわかってもらえないほど。包み隠さず、自分の全てをさらけだす姿は、まさに開かれた心。

 

《サケ》

魚言葉:故郷を思う

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絶対に帰らなければならない。それがサケの使命なのです。たとえ鱗が剥がれようとも、そこで力尽きようとも、生まれた川に戻るサケの姿はまさに、ズバ抜けた郷土愛。様々な料理に活用され、イクラまで絶品と頭の下がる魚です。たまには実家に帰りましょう。サケの遡上に比べれば、簡単なことではありませんか。

 

「魚言葉」いかがだったでしょうか。言葉を持たない魚だからこそ、じんわりと伝わる思いがあります。みなさんも大切なあの人へ、素直になれない気持ちを、「魚」に託して贈ってみませんか。

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