水本はざうおを旅立った。自分の可能性を試す為に
水本一揮(27)
今日はこの男の話…
ちょっと前になるが、水本はざうおを退職した。そんな水本との話。
まだ大学生のクルーが後輩を紹介するのが伝統だった10年程前、水本はクルーとして天神店にやってきた。
当時二番手として必死だったしょうたはまだ自分に余裕が無く、話すようになったのは暫く経ってから。
2人は当時をこう振り返る…。
水本:「昔、山芋鉄板という板の鍋敷きに鉄板を乗せて提供するメニューがあって、しょうたさんに「滑るけん気を付けろよ」って言われた矢先に俺が落としちゃったんですよ」 |
しょうた:「あー、何となく覚えとー。それで俺に怒られたんやっけ?」 |
水本:「いや、「お前何しよーとや」ってしょうたさんが急いで新しく作ってくれたんですけど、しょうたさんがそれを滑らせて落としたんですよ」 |
しょうた:「それは覚えてない。華麗にフォローするカッコいい頼れる社員みたいな感じやなかったん?」 |
水本:「「落ちるような鉄板が悪い!」って怒ってました。カッコいい感じではなかったです、はい」 |
その後しょうたは博多駅に当時オープンした洋食屋『ゲンキッチン』の料理長として暫く天神店を離れたので、水本と再会したのはそれから1年半後。
大学生当時の水本は人見知りが激しくてろくに大学も行かず、周りが就職活動に勤しむ中全然そんな素振りもなく
「親の金で大学まで行かせてもらいよるんやけん、ちゃんと卒業して親を安心させてあげないかんよ」
と苦言を呈していたのです。
そんなある日、昼の仕込みを終え溜まった事務仕事をしていると、ふらっと水本が現れました。
この時のやり取りは今でも印象に残っています。
しょうた:「おお、お疲れ。どうしたん?」 |
水本:「…ここで社員として働かせてもらえませんか?親に頼らず自立したいんです」 |
しょうた:「…わかった」 |
正直水本が社員になりたいと言うとは意外でしたが、まだ当時の水本の将来に一抹の不安を感じていた私は、自分の手元で育てることで社員としての責任感をもった仕事への向き合い方、仕事以外の人としての部分でも教えてあげられる事があると感じたんですね。
こうして水本は天神店で社員としてのスタートを切ったわけです。
アルバイト時代から入れれば9年間。
いい時も悪い時も共に成長してきた。
天神店の中で言えば間違いなく自分と水本が一番同じ釜の飯を食ってきました。
言葉では言い表せないですが、最初の頃あった虚弱体質も良くなってきて、下の子達にもしっかり指示を出し、厨房全体を見れるようになった。
大学の時にハマっていたギャンブルもきっっぱり辞めた。
天神店にはなくてはならない存在になった。
何より人としてしっかり成長した水本を、自分の息子のように嬉しく思っていました。
しかし、森羅万象陰と陽、出会いがあれば別れがある。
今回水本は諸事情により長きに渡るざうお生活に終止符を打つ事となりました。
27歳という今の自分を客観視し、まだ見ぬ世界へ飛び込んでみたい。自分の可能性を試したい。
そう熱く話す息子の背中を親として気持ちよく押してやることにしました。
送別会で水本が
「しょうたさんは今まで出会った人の中で本当に尊敬出来る人。諸事情が無ければずっとしょうたさんと仕事がしたかった…」
と言ってくれた。この言葉におじさんは目頭が熱くなりました。
私も今までの思い出話と共に感謝の気持ちを水本に伝える。
泣かせるつもりが自分が泣きそうになる…。
最後は無言で熱く…。
父親と息子の感動のシーンです。
父しょうた:「長い間ありがとうねー。色々助けられたよ」 |
息子水本:「本当にお世話になりました。ありがとうございました」 |
父しょうた:「また新しいスタートやね。後悔しないようにしっかり頑張りんさいや」 |
息子水本:「ありがとうございます。頑張ります。ダメやったら戻ってくるかもしれないです(笑)」 |
父しょうた:「じゃぁ、一応3年でより成長して戻ってくる旨の誓約書にサインしようか。甲乙のここに署名捺印を…」 |
息子水本:「いやいや、本気か!!」 |
とまぁ最後までこんなやり取りで。
水本よ。長い間ありがとう。
お前の未来に幸あれ!!(ダメやったら戻ってきていいけんね)
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